習近平の一帯一路🇨🇳④(トルコ🇹🇷エルドアン大統領のアジア戦略)
先日から、2017年のチャイナの総括として、5月に行われた一帯一路フォーラム(B&R Forum)について書いています。
昨日は中露関係を軸に書きました↓が、
今日は、B&R Forumではロシアのプーチン大統領🇷🇺と同じくらい超VIP待遇だったトルコのエルドアン大統領がB&R Forumに自ら出向いた意図について書こうと思います。
チャイナはトルコを一帯一路の最重要国の一つに位置付けており、既に2015年にはチャイナのテレビでこんな独占インタビューも↓
2017年には上海協力機構 (SCO)のパートナー国として議長になったりと安全保障面でも繋がりを深めています。
ちょうど、このようなインドから見た『トルコにとっての一帯一路』についての記事を見つけましたので、まずはこちらから↓
Erdogan pledged that as an indispensable participant, Turkey is providing a strong support to Beijing’s initiative to revive the ancient Silk Road. “We will start operation of the Baku-Tbilisi-Kars railway project in 2017, as an important step in the Middle Corridor plan of the country,” he said.
なんと、わたしの知らない間にトルコとチャイナ共同で
バクー(アゼルバイジャン)→トビリシ(ジョージア=グルジア)→カルス(アルメニアとの国境に近いトルコ東方の都市)
までの鉄道プロジェクトが始動しているそう。
この記事は2013年のエルドアン・習近平会談をまとめたものですが、B&R Forumの前日に行われたこのエルドアン大統領の演説も要旨は同じでした。
トルコはチャイナの投資が欲しいというよりも一帯一路プロジェクトに乗っかってアゼルバイジャンなどの中央アジアの兄弟国にインフラ投資をしたい。
チャイナに勢力圏を食い荒らされたくないという気概も感じました。
チャイナマネーを乞食しに行ってるわけじゃないんだなと。
そもそもトルコにはテュルク系という考え方があり、このエントリーでご紹介した通り、
オスマン帝国が崩壊してトルコ共和国になり、アラビア語・ペルシャ語の語彙が多かったオスマン語を廃止してトルコ語を制定する過程でテュルク系諸語からたくさんの言葉を集めたということもあり、現在のトルコ語はテュルク系の人にも結構通じるらしい。(ポルトガル語とイタリア語みたいな感じかな?)
ケマルは『トルコ民族主義』の一環として
という思想を持っていて、教育でも教科書にそんなことを載せているため、トルコ人的に言えば、テュルク系のアゼルバイジャン・トゥルクメニスタン・ウズベキスタンは
『トルコの兄弟国家』
である。
アゼルバイジャンはテュルク系のアゼリ人という民族(アゼリ人の大半はイランに住んでいるものの、旧ソ連に巻き込まれた地域はアゼルバイジャンとして独立)が住んでおり、エルドアンさんはトルコ化したグルジア人家系の出身なので(この辺は別エントリーで詳述します)この鉄道プロジェクトとそれを梃子にした中央アジア進出はエルドアン政権の経済成長延命策のキモであると言えるでしょう。
ケマリズムの『トルコ民族主義』と『世俗主義』という名のイスラム弾圧についてはこちら↓
一方で、チャイナマネーで中国国内のムスリム迫害に対して口をつむるんじゃないかという懸念もされています。
が、経済政策とイスラム主義はエルドアン政権の二大柱ですし、イスラム主義者として戦略的に海外ムスリムから支持と信頼を集めているエルドアン大統領は、多少声が小さくなっても口を出すことをやめることはないと思いますね。
こちらは、トルコ国内に中国の協力で走り始めた新幹線についての動画↓。
中国の技術協力でトルコ企業が生産している。
2018年に全線開通予定。
自国の技術力UPと東方地域(エルドアンさんはグルジアとの国境付近出身)の利便性向上を考えての政策。
トルコは結構な大国なので移動時間の短縮に貢献して大変いいのではないでしょうか?
チャイナは経済・産業面だけでなく、政治面でもトルコとエルドアン政権を推しています。2016年7月のクーデター未遂事件の後のG20でも全面的な支持を表明↓。
宗主国アメリカ主導と言われるクーデターの失敗に対して、是とも非とも言わずじっと遠巻きにしていた某国とは大違いですね😓
(自分は是とも非とも言っていないつもりかも知れないけど、エルドアンさんは「日本は敵だ」と思ってそう)
絶対、たまに会ったら、
「報道の自由ガー」
「人権ガー」
っていうG7のご意見おばさんの仲間だと思われてる😓
メルケル「呼んだ?」
トルコは親日国家と言われますが、この様子だと、ビジネス上も外交上も日本は置いてけぼりですね〜😓
去年の11月23日に全会一致で決定された通り、今年はトルコが上海条約機構の議長国でしたが、
一年の締めくくりに次のような記事が出ていました。
平たく言えば、
「旧ソ連でありながらNATOと協力関係にあるカザフスタン(SCO=上海条約機構の正式加盟国)とトルコが、上海協力機構とNATOの橋渡しをする」
みたいな内容です。
カザフスタンは一応ムスリムがマジョリティーの国ですし、カザフ人というのはトルコと同じトゥルク系と言われていて、国同士もトゥルク系の兄弟国として繋がりの強い国みたいなのでトルコとしては連携しやすいパートナーなんでしょうね。
NATOに片足は預けたままで、オスマンの庭である中央アジアへの足がかりにSCOに乗っかっておく。
という、洋の東西の結節点にあるトルコらしいリアリズムを感じますね。
エルドアン大統領「チャイナは大切なパートナー🇨🇳」
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