コンサバ主婦のひまつぶし

国際関係とか動画の感想とか。

エルドアン王朝の蠢動か、オスマン帝国再興か🇹🇷⑤(宿敵ロシアとの妥協🇷🇺🇹🇷とアフリン攻略作戦)

トルコ軍と自由シリア軍のアフリン作戦が始まりましたね💣

www.afpbb.com

NY timesの記事はタイトルの時点で既に間違っていますが(なので中身読んでいない)、

www.nytimes.com

今回トルコ+自由シリア軍が戦っているクルド勢力はアメリカが後詰めしているSDFではなく、ロシアが支援してイドリブの旧ヌスラ戦線(ヌスラ戦線はなんで名前変えちゃったんだろう???😓)と戦っている(?)YPGです。

その辺のことはこのエントリー↓に書いてあるので下に引いておきます。

konsabashufu.hatenablog.com

クルド人武装勢力についてはこの表↓を見てください。

f:id:konsabashufu:20170617174034p:plain

アメリカはとにかくイスラム主義勢力が嫌いなのでYPGを支援していますが、YPGの母体のPYDというのはマルクス・レーニン主義政党で、元々旧ソ連の工作機関です。

つまり、なんというか、トルコのテロリスト集団PKKは、IS(イスラム国)と戦うときはアメリカに後押しされたSDFと呼ばれ、ISと関係ないところで他のシリアの反政府勢力と縄張り争いをするときはロシアに後押しされてYPGと呼ばれているらしい。

つまり、

PKK=YPG=SDF

だけど、バックにいる国がそのときどきで違うということ。

実際にこの三つ+ペシュメルガの戦闘員は流動的みたいです。(PKKは反トルコ、ペシュメルガは親トルコで政治的なイデオロギーは違うんだけど)

アメリカ軍は

「SDF(シリア民主軍)はトルクメン人やアラブ人もいる。(自らもテロリスト認定している)PKK=YPGとは違う」

というテイでSDFへの武器供与へのトルコの再三の抗議を無視して来ましたが、

お膝元のNY timesがYPGとSDFの戦闘員が流動的、且つ、両方がクルド人組織だということを全世界に発信してしまいました。(とっくに知ってたよ💁?)

f:id:konsabashufu:20180121105716j:plain

もう一度繰り返しますが、今回、トルコ軍+自由シリア軍アフリンで戦っているクルド人組織(YPG)を支援していたのはロシア軍です。そして、アフリンはそもそもクルド人の町です(元々町によって住んでいる民族に偏りがあり、飛び地になっていた)。

つまり、今回はトルコ側の侵略であるということ。

これらTweetsや、

f:id:konsabashufu:20180121134541j:plain

このTweetで見ると分かる通り、

f:id:konsabashufu:20180121110823j:plain

事実上、

ロシア軍はYPGをトルコに売った

と思われます。(何しろ、YPGの人員・設備・施設情報までトルコが把握しており、ロシア軍の停戦監視員は事前退避(*諸説あり)。)

 

つまり、今回のアフリン攻略作戦については事前に

ロシアとトルコの政府間でなんらかの合意があった

と考えられ、今回のエントリーではその背景について考察したいと思います。

 

 

トルコ=アナトリア地政学について2回に渡って考察してきました。

konsabashufu.hatenablog.com

特にこのエントリー↓で取り上げた動画でもある通り、

konsabashufu.hatenablog.com

つまり、地政学的視点において

トルコの仮想敵国はオスマン帝国以来、ずっと、ロシアであるということ🇷🇺

 

シリア内戦勃発以来、トルコのシリア反体制派支持は明白であり、ロシアは2015年9月の介入以来その反体制派を

「テロリスト」

と呼び、反体制派のいる町ごと爆撃してきました。

その凄惨さに耐えかねて2015年11月にはトルコがロシア機を撃墜するという事件↓まで発生。両国の緊張は高まっていました。

www.bbc.com

が、その後ロシアのプロパガンダメディアSputnikは、2016年7月19日付けでロシア機撃墜を行ったトルコのパイロットが逮捕された旨を掲載。

jp.sputniknews.com

真偽はともかくとして、わたしはこの記事がスプートニクから出たという事実と、日付が重要だと考えています。

2016年7月19日というのはトルコのクーデター未遂事件が起きた直後であり、スプートニクはこちらの第一報を皮切りに推移を逐一詳細に報じ、

jp.sputniknews.com

特設ページ↓を作っているほどです。(ここまで来ると、CIAの陰謀ガーっていうところまでコミコミでロシアの陰謀かもしれないと思いますよね😨)

jp.sputniknews.com

実際、その後2016年年末には、トルコの現役の警察官がロシア大使を射殺したりして、訳が分からない状態に。。(警察官本人はロシアによるアレッポ空爆の復讐みたいなことを言っていた)

jp.sputniknews.com

米大使殺害も準備していたとスプートニクがふかしているので、少なくともロシア的にアメリカ=CIAの差し金って訳ではなさそう😅

jp.sputniknews.com

素直に考えると、同胞への虐殺を目にし、義憤に駆られた正義感の強い若い警察官が単独で行った

エルドアン政権のロシア接近への命懸けの抗議

だったんだろうと思います。

が、そんな彼の抗議も虚しく(?)、2017年はエルドアン大統領とプーチンの接近が非常に目立つ年になりました。

アスタナ会議、一帯一路、G20上海協力機構など、多国間協議の合間の首脳会談を合わせると、ほぼ、毎月くらい会ってたんじゃないかなと思います。

 

こちらはプーチンアンカラ訪問の記事。

www.al-monitor.com

  • 地対空防衛システムS-400や、原子力発電に関する協力などが話し合われたとのこと。

11月13日のソチでの一対一会談後、11月22日にイランと三者協議をするという記事↓。

www.arabnews.com

トルコーロシアで先に話をつけてから。。って、出し抜かれたみたいでイランとしては面白くないですよね😤

(もしかしたら、イランーロシアの一対一会合が別にあったのかもしれないけど)f:id:konsabashufu:20180121233156j:plain

ここではっきり書いてあることは、

Dr. Dimitar Bechev, non-resident senior fellow at the Atlantic Council’s Eurasia Center, said the YPG’s fate has been a main reason why Putin and Erdogan have held frequent meetings.
Erdogan wants to deal with Kurdish-held Afrin. Putin is reluctant to let go of the Syrian Kurds, pressing Ankara to accept their participation in talks on the future of Syria,” Bechev told Arab News.

YPGの命運がこの頻繁なプーチンエルドアン会談の理由である。エルドアンクルド人支配地アフリンについて取引をしたいが、プーチンクルド人の梯子を外すことを躊躇っている

ということで、今回のアフリン侵攻が現実になったということは、プーチンがGOサインを出したということになります。

実際、プーチンは三者会合から間をおかず12月11日にトルコで首脳会談を行いました。

www.al-monitor.com

さらに、トルコ訪問に先駆けてシリアのロシア基地、フメイミム基地に立ち寄っているのです✈️

Prior to his scheduled visits first to Cairo and then Ankara, Putin made a surprise stop today at the Hymemim air base in Syria, where he told Russian servicemen that he had given orders to bring them home. “Over slightly more than two years, the Russian Armed Forces have routed together with the Syrian army the most combat-capable grouping of international terrorists,” Putin said. “In view of this, I have made a decision: Most of the Russian military contingent staying in the Syrian Arab Republic is returning home to Russia.”

ロシア軍はもう二年もシリアを助けて戦ってきたが、現在駐留する大部分のロシア軍は撤退する。

そしてプーチンからエルドアン大統領への年末のご挨拶。

www.hurriyetdailynews.com

長年地政学的ライバル関係にある両国がどういう取引をしたのかは分かりません。

ロシアとしては、シリアの出口戦略をトルコに丸投げしたかったのかもしれないし、トルコ軍の上層部にロシアの間諜みたいな人間がいて、トルコがロシアの意図通りに動く自信があるのかもしれない。または、『テロリスト』掃討を完遂するよりも、いい加減なところでアサドに諦めさせる方が簡単だという現実的判断かもしれない。(掃討しなくても、トルコに任せれば制御は出来る🇹🇷)

ロシアの譲歩の結果トルコ側から得られる条件としては

などがあるでしょう。

どういうロシアの計算があるのかはわかりませんが、 何度も事前報道が出ていたこともあり、今回のアフリン攻略作戦『オリーブの枝』(作戦名が可愛くて笑っちゃう😊)はロシアにとって既定路線だったということです。

f:id:konsabashufu:20180121002648j:plain

エルドアンプーチン「わたしたち、手打ちしました」 

次のエントリーでは、一時的な手打ちの後の展望を書いてみたいと思います〜

 

Blogの応援して頂けると嬉しいです→💗

いつもありがとうございます💗

宜しければ、Blog投げ銭お願いします💗