吹っ切れたエルドアンとシリア騒乱の行方。
ロシア・イラン・トルコの三者がカザフスタンのアスタナでシリアの今後について話し合う、アスタナ会議。5回目の協議が目前に迫ってきました。
確か、2016年12月に反体制派が支配していた自由都市アレッポが陥落し、12月19日に在トルコロシア大使が暗殺されたことを受けて開催が決定されたと記憶しています。
第1回はトランプ大統領の就任直後に開催され、主旨としては
「アメリカが今更口出したって知るか😜シリアのことはこの三カ国で片をつけような😜」
という合意がされたと認識しております。
この時点ではトルコ(とトルコが支援するシリアの反政府武装勢力)は相当劣勢でした。が、最近エルドアンさんがやる気出してるのかどんどん攻勢を強めています。
アメリカが支援するクルド人武装勢力SDF(シリア民主軍)はイコールYPGの筈なのに、トルコがYPGを攻撃???ナンノコッチャ???ってなりますよね。
アメリカはとにかくイスラム主義勢力が嫌いなのでYPGを支援していますが、YPGの母体のPYDというのはマルクス・レーニン主義政党で、元々旧ソ連の工作機関です。
つまり、なんというか、トルコのテロリスト集団PKKは、IS(イスラム国)と戦うときはアメリカに後押しされたSDFと呼ばれ、ISと関係ないところで他のシリアの反政府勢力と縄張り争いをするときはロシアに後押しされてYPGと呼ばれているらしい。
つまり、
PKK=YPG=SDF
だけど、バックにいる国がそのときどきで違うということ。
実際にこの三つ+ペシュメルガの戦闘員は流動的みたいです。(PKKは反トルコ、ペシュメルガは親トルコで政治的なイデオロギーは違うんだけど)
- 2011年3月15日 シリア内戦開始
- 2013年8月 アサド政権の化学兵器使用疑惑からアメリカの軍事介入検討へ
イランがいつから軍事介入していたのかわたしにはよく分からないんですが、この記事を見ると、2013年8月時点には既にある程度関わりを持っていたんじゃないかな?
- 2013年9月 偽善者オバマの"America is not the World's policeman"発言
個人的に、本当にこれ許せない↑。聖人の猿真似🐒ノーベル賞返せ😡
ここで、戦況がガラッと変わるのがプーチン率いるロシアの参戦です。
- 2015年9月 ロシアのシリア軍事介入開始。アサド政権を支援し、反体制派地域を無差別空爆
わたし的にこの頃、支援していた反体制派がこのロシアの空爆でボコボコにされているのを見て、エルドアンさんはシリアに本格介入しようかどうか相当迷っていたと思います。
- 2015年11月 トルコのロシア機撃墜
この撃墜事件はエルドアンさんの迷いとフラストレーションの象徴的な出来事じゃなかったかと思います。参戦も考えたけど、報復のみで踏み止まった感。
- 2016年6月25日 イギリスのEU離脱(BREXIT)が決定(投票は24日)
- 2016年6月27日 エルドアンがロシア機撃墜を謝罪
元々EU加盟に乗り気でなかったエルドアンさんは、イギリスの離脱決定を受けて
「やっぱりEUは駄目だな」
と見切りをつけ、即プーチンに電話。このスピード感すごいよね。
わたしは、エルドアンさんは個人的にはEU加盟は不要だと思っていると思っています。加盟交渉を抜けていないのは、国内に根強い加盟支持層がいて、加盟交渉打ち切りによって世俗主義親EU層(=反エルドアン層)の政権批判が勢いづくのを嫌っているのだと思います。
- 2016年7月4日 トルコがロシアにインジルリク空軍基地使用許可(?)
- 2016年7月15日 トルコのクーデター未遂事件(首謀者は件の空軍基地所属の前空軍司令官)
- 2016年8月18日 アメリカ、トルコの戦略核をルーマニアへ移送(?)
- 2016年8月下旬 トルコのシリア軍事介入開始
タレントのフィフィさんが言っててそれあるかもって納得したんだけど、このトルコのクーデター未遂事件って、7月4日(アメリカの建国記念日だ!)にこのニュースが出て約10日後に起こったんですよね。
この、ソースがロシアのスプートニクっていうところが信憑性微妙なんだけど、この記事でトルコがロシアに使用許可したとされる空軍基地の前司令官がクーデターの首謀者だったこと、その空軍基地がアメリカ他有志連合が使用している基地で、アメリカ軍の核兵器が置いてある基地だったこと。その後、アメリカがその空軍基地に置いてあった50発の核兵器をルーマニアに移送したというこれもまたスプートニクのニュースが出ているんです。
そして、その後8月下旬にトルコのシリア軍事介入が始まります。
この流れって、クーデターにアメリカが関与してたんじゃないか?そして、情報機関を通じてエルドアンさんはそれを確信したんじゃないか?っていう憶測を免れないんですけど〜〜😱(それさえもロシアの情報工作かもしれないけれども)
さらに追い討ちをかけるのが
- 2016年11月 トルコが上海協力機構への加盟示唆、2017年の議長国に!
正直、エルドアンさんとしてはイラン・アフガニスタン始め、中央アジアのイスラム教国家も加盟国・準加盟国で入ってるしエルドアンさんは独裁的とはいえ、強面政権の中では民主的な方だし、小うるさいEUよりも上海協力機構の方がやりやすいな〜〜と思ってると思う。
だけど、トルコはNATO第2位の軍事大国で、NATOに入ってるっていうのは一種のステイタスで、NATO標準で武装できてきたわけです。NATOに入っているからこそ、アメリカはトルコに武器を売ってきたけれど、NATOを出たら多分、イスラム主義エルドアン政権のトルコにはアメリカは武器は売らないだろうってエルドアンさんは思っていると思う。(←エルドアンを忖度する主婦)
そんな迷いを抱えながら、エルドアンさんはとりあえず、2017年の議長国として一年間上海協力機構を観察することを決意。
上海協力機構の会議は、言ってみればG7やG20みたいな各国首脳の親睦会みたいなものだから、大陸強面国家の首脳の面々とパイプを繋いでおく。という選択。
「すわ、NATOと二股かける気か?????」
っていうアメリカの反応が怖いけど、まあ悪くないんじゃない?と思ってしまうわたしはどこまでいってもエルドアン贔屓。
そしてさらにはこんなところまで↓
- 2017年4月 トルコ、ロシアから対空ミサイルシステムS400購入へ
このニュース見たとき、トルコ、遂にNATO出ちゃうのかな???って本気で怖くなりました😱
トルコがアメリカの言いなりになってたら中東でまともに動ける国がいなくなるからある程度フリーハンドで動いてほしいけど、トルコがNATOから出たら完全にヨーロッパがイスラム教と分断されてしまうから、トルコはNATOに居てほしい😭(←ワガママ)
このニュースもスプートニクなんで、どの程度信憑性があるのかryだけど、一説には、システム製造の技術供与込みで購入できるということだったみたいです。(この辺はTwitterで見た気がする程度でソース引けません)
アスタナ会議の三カ国トルコ・ロシア・イランの他に、実際は当事者であるシリアのアサド(シリア全土を取り戻したい)もいるのでなかなか話がまとまらないですが、三カ国の中ではある程度妥協点は見えてきているのかなぁと思います。
今回のカタール危機でのトルコのカタール軍事支援は、シリアでのトルコの対イラン交渉カードになると思うし、将来的にはトルコはクウェートにも基地を作るんじゃないかと予想。
クウェートにはアメリカ軍基地がありますけど、クウェートはイラク・イラン(実際は国境は接していない)・サウジに囲まれてるので非常に地政学的不安が大きい場所ですので。
エルドアンさんは、出来ればアレッポとその周辺の北シリアに飛行禁止区域を作り、トルコ国内・トルコシリア国境の難民キャンプのシリア人を戻して保護領のような感じにして支援している勢力に委任統治させようと思っているんだろうなと思います。
アレッポは人口200万くらいの大都市だったみたいですし、トルコ国境から30kmくらいと近いので本当に奪還したいと思っていると思いますが、アサドが渡すわけないので武力で取り返すのか?ということと、もし取り返せたとして、トルコが支援しているシリアの反政府勢力がちゃんと統治出来るのか?という二つの問題が。。
ま、トランプ政権になってエルドアンさんは完全にアメリカに見切りを付けて結構フリーダムにシリアに軍事介入しているので、完全に決着がつくまでには多少巻き返せるかな?と思ってます。(イランもシリア・イラク国境を繋ごうとしてアメリカに邪魔されたりしてるし。。)
トルコ、頑張って〜〜〜🙏🙏🙏
シリア人が安心して暮らせる場所を作るために😭😭🙏