習近平の一帯一路🇨🇳③(印パ🇮🇳🇵🇰のSCO加盟と中央アジアを巡る中露🇨🇳🇷🇺の綱引き)
今年の5月14日〜15日には中国は北京で習近平一世一代の『一帯一路フォーラム』が開催されました。
初日に金正恩がミサイルを発射したりして日本ではそちらばかりが話題になったようですが、100ヶ国以上の代表、29ヶ国の首脳、他にも国連事務総長を始めとする多数の国際機関の代表が集まり、わりと大盛況だったようです。
一帯一路は上海条約機構が主体となったユーラシア経済連合とも統合されたこともあり、西側はあまり首脳級が来なかったのですが(参加国分析は↓)、
ロシアのプーチン大統領が来てピアノを弾いたので話題になっていました。
西側はあまり首脳が参加しなかったとはいえ、政権の重鎮を代理で派遣して様子見という感じでしたが、インドはカシミールでの対立を理由に参加国の中では唯一招待を拒否してフォーラム参加をボイコットしたそうです。
このママ友の話↓を聞いていると、インドの危機感はさもありなんという感じ。
係争地カシミール経由でパキスタンに軍用道路を通したことへの抗議らしく、寧ろ、パキスタンこそそんなに侵食されて大丈夫?という感じ😱
夏休み中にリアルドンパチ💣やってましたよね。
皆さまご承知の通り、そもそも一帯一路というのは、中印関係が悪いこと前提で、
「チャイナがどうやってインドをバイパスしてインド洋に出るか?」
というのが一つ、
資源の宝庫且つ未開発の中央アジアでの覇権争い
がもう一つの主題です。
中央アジアの覇権争いといえば、一帯一路以外にもう一つアレがありますよね😊
そう、G7も震えるコワモテ勢揃いの
上海協力機構(SCO)😎
です。
B&R Forumは出席拒否したインドですが、
今年6月SCOに印パ同時に正式加盟(加盟自体は去年決定)
しました。
というわけで、今日は
中央アジアを巡りSCOとB&Rで綱引きする中露🇨🇳🇷🇺
について書きます。
上海協力機構(SCO)は中露を中心とした事実上の軍事同盟です。
今回インド・パキスタンが加わり、なんと、
核保有国4カ国を含む30億人規模
に成長しました。
まずは基本的な構造を見ていきます。
◉加盟国
◉オブザーバー国
- イラン(ややロシア🇷🇺寄り?バランサーとなるべき大国。後々は加盟するはず)
- アフガニスタン(どっちよりかは不明。情勢落ち着いたらね)
- ベラルーシ(ロシアマター🇷🇺だが、ロシアの保護領みたいなものなので加盟はしない)
- モンゴル(旧ソ連の衛星国であり、ロシアマター🇷🇺永世中立国を目指しているので加盟はせず)
オブザーバー国は将来的に加盟する可能性のある国の他に、ロシアの子飼いの国が多い印象です。が、イラン以外は小国ばかりです。ロシア的にはイランの加盟を急ぎたいところですが、イランは外交はかなり慎重なので焦らしそう💗
◉パートナー国
ここで重要なのは、SCOの加盟国は中露以外の国は全て中央アジアの国であり、旧ソ連の構成国なのでロシアマター🇷🇺のはずなのですが、
一帯一路で中国資本🇨🇳が入りまくっており、ロシア的にはSCO内での影響力に不安が出てきた
ということです。
なので、中国に敵対しているインドを加盟させて
印露🇮🇳🇷🇺vs中国🇨🇳
でバランスを取る。
この辺ロシアは巧い😎ですよね〜
で、さらに、インドの加盟にチャイナが文句言わないようにチャイナマター🇨🇳のパキスタンを加盟させる。と。
プーチン巧いなぁ😎
インドは、一帯一路でチャイナ🇨🇳に包囲されてしまったことに危機感を持っており、プーチンの提案に乗ったわけです。
その辺の事情が分かりやすいのがこの日経の記事です↓。
(前略)
インドにとって最も重要なのは、SCOを通じた中央アジアへのアクセス確保だ。「全方位経済外交」を展開するインドにとって、中央アジアは環インド洋諸国と並ぶ将来の重要なパートナーだ。モディ首相は就任2年目の2015年7月、中央アジア5カ国を歴訪して経済協力を約束した。
シンガポール国立大学南アジア研究所のルパクジョティ・ボラー客員研究員は「インドはSCO加盟によって、豊富な資源に恵まれた中央アジアへの関与を深めることができる。なによりも中国やパキスタンに取り残されて地域で孤立することは避けたかったはず」と分析する。
インド石油天然ガス公社(ONGC)の海外部門を担う子会社ONGCビデシュは、カザフスタンの北カスピ海鉱区で油田開発を進める。パキスタンとアフガニスタンは17年3月、総延長1800キロ、総額100億ドルに及ぶTAPI(トルクメニスタン―アフガニスタン―パキスタン―インド)パイプラインのルート選定作業を開始。巨大プロジェクトは構想から22年を経て、ついに動き出した。中央アジアはエネルギー、インフラ関連プロジェクトが目白押しだ。
インドと中国は国境紛争から1962年に戦火を交えた後、長年疎遠な関係が続いていた。だが、インドにとって中国は今や最大の貿易相手国であり、近年は中国のスマートフォンメーカーやIT(情報技術)企業が大挙してインドに進出。中国の対印直接投資も急増している。
インドと中国は貿易摩擦も絶えない。中国製通信機器へのスパイウエア疑惑や、領土問題を巡る中国外交官の「不穏当な」発言など、しばしば印中関係は緊張するが、両国はそのつど迅速に事態を収拾してきた。政治問題を棚上げし、貿易や投資といった経済協力で実利を追求する「大人の関係」を維持している、といえるだろう。
インド、パキスタン、バングラデシュなど8カ国が加盟する南アジア地域協力連合(SAARC)の域内貿易額は全体の5%、加盟8カ国の国内総生産(GDP)合計のわずか1%にすぎない。印パ関係の正常化が進まず、06年に発効した南アジア自由貿易圏(SAFTA)が機能不全に陥っているためだ。
だが、インドとパキスタンにとって、SCOの自由貿易圏が実現すればSAFTAを補完・代替する役割を期待できる。当初、SCOは「対テロ」や安全保障のための協力機関という色彩が強かったが、近年は経済協力に大きくシフトしていることもインドの加盟を後押しした。
中国の李克強首相は16年11月、キルギスのビシケクで開いたSCO首脳理事会で、「域内貿易・投資の拡大と円滑化」「SCO自由貿易圏の創設」「地域金融機関の活用」など、域内経済協力の加速に向けた6項目の提案を行った。今後、SCOは電力網や道路など域内インフラの共同開発も進みそうだ。莫大なインフラ資金需要がある拡大SCOは、アジア開発銀行(ADB)や世界銀行などにも大きな交渉力を持つことになる。
(中略)
中国・パキスタン経済回廊(CPEC)の最大の受益国となるパキスタンは、当然SCOを支持している。だが、一方でしたたかな思惑も持ち合わせている。
中国の資金で開発したパキスタン南部・グワダル港にはコンテナターミナルが完成し、発電所や港湾道路の建設も進む。同港は中国陸部から海への出口として期待されている。ただ、パキスタンの有力政治家は「グワダル港は何も中国のためだけにあるのではない。中央アジアの企業にも活用してもらいたい」と本音を語る。
パキスタンから見れば、SAARCはインドの影響下にある国際機関にすぎない。インド国内への越境テロや、インド側の報復攻撃などで印パ関係は再び悪化した。16年11月にイスラマバードで予定したSAARC首脳会議も、主にインドの意向で延期となった。
16年秋に訪米したパキスタン与党所属のムシャヒード・フサイン・サイード上院議員は記者団に、「中国やイラン、中央アジアも含めた拡大南アジアはすでに現実のものとなりつつある」と述べ、南アジア地域におけるインドの強い影響力を抑止しようという意図を隠さなかった。
■多国間の枠組みで「印パ和平」仲介も
南アジアは、世界銀行の報告書で「世界の成長の中心地」との評価を受ける。17年も7%前後の成長が確実視される。ここに自国の余剰生産力を輸出・投資したい中国にとって、印パの対立解消による南アジアの安定化は一帯一路(OBOR)の推進など国益に合致する。
(中略)
インドは、パキスタンと70年近くにわたって領有権を争うカシミールを「二カ国間の問題」としている。パキスタンはともかく、インドが多国間の仲介を受け入れる可能性はきわめて低い。SCO加盟国にも異論が出るのは必至だ。ユーラシアの大半をカバーする世界最大の地域協力フォーラムとなった拡大SCOは、なお様々な課題と思惑をはらんでいる。
中央アジア覇権を争う中露の綱引きに、乗り遅れまいとするインドの構図が見えます。
実は、中央アジア覇権はアノ国↓も狙っているので、明日はそれについて書きます💗
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