コンサバ主婦のひまつぶし

国際関係とか動画の感想とか。

ロシアのウクライナ侵攻まとめ②(黒海を巡る、トルコとロシアの動き①露土戦争の再来?の巻)

今日はこのエントリーの続き↓です。

konsabashufu.hatenablog.com

 

 

 

オスマン帝国解体の歴史は露土戦争の歴史(by池内恵先生)

2014年のロシアのウクライナ侵攻はクリミアから始まりました。

2020年のナゴルノ=カラバフ戦争の時点でロシアと紛争状態にあったウクライナは、ロシアの本格参戦を防ぐという意味ではアゼルバイジャン=トルコ連合軍有利に働いていたとは思います。

露土戦争は大まかに言うと大体8回くらいあって(クリミア戦争とかもモロ露土戦争)、揉め始めはウクライナ近辺が多く、激戦地もあの辺であることが多いみたいです。

https://twitter.com/E_ottoman_bot/status/1496661451867844608?s=20

今回の戦争でもロシアが陥とそうとしている激戦地の名前がたくさんあるので、Twitterオスマン帝国botさんをぜひ見てみてください。

2014年のロシアの侵攻(?)でロシアに併合されたクリミア共和国のクリミアタタールを含め、ウクライナには東部を中心に、大モンゴル帝国とかオスマン帝国系統のムスリム系住民も結構いるらしい。

こちらは↓東ウクライナハルキウ(ハリコフ)から避難してきたタジク系ウクライナが、避難先のリヴィウで生後40日で亡くなった赤ちゃんを埋葬しているところ。

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生後間もなくから防空壕での生活を強いられて肺炎になり、避難先のリヴィウで亡くなってしまったとのこと。

スターリン強制移住とかも関係あるかもしれないけど(朝鮮族をカザフに、クリミアタタールをシベリアにとか、ベクトルで言えば逆っぽい気がするけど)、ウクライナ人にはタジク系の人もいるんだなと思いました。

 

開戦早々ウクライナに頼られるトルコ

ウクライナのゼレンスキー大統領は開戦早々に、

「我々は孤立無援で戦っている誰も私たちを助けてくれる国は無いようだ」

と語った後(これは可哀想とは思ったけど、「え〜今気づいたんかい!」とも思った)、トルコに

ロシア海軍ボスポラス海峡ダーダネルス海峡の通行止をしてくれ」

と要請していました。www.dailysabah.com

同日にロシア海軍がトルコの商船を誤射してあわや露土戦争?という事態になるかと思いましたが、

裏庭の黒海で天敵ロシアが暴れてピキピキだろうに、意外に抑制的に振る舞ったトルコ

ロシア海軍の攻撃については誤射なので(トルコの出方を見る為にワザとやったと思うけどね。トルコ船籍でトルコ国旗揚げてたんだし)不問にし、トルコの赤新月イスラム圏の赤十字赤新月から人道支援物資・医療物資を毎日トラックで運ぶ(物量には自信のあるトルコ)という方向でのウクライナ支援を発表しました。

トルコの子分(?)のアゼルバイジャンからも別途同様の支援をするようです。

こんな感じで通過禁止したという話が出たり、否定されたりしていましたよね。

集めた情報を合わせて考えると、トルコの海峡封鎖を巡る動きは、

  • トルコは当初、ロシア海軍の艦船の通航禁止を宣言はせず
  • ロシア海軍の艦船は黒海から地中海に出るときは海峡を通ることができる
  • ロシア海軍の艦船は黒海艦隊所属の艦船に限り、地中海から黒海に入る際の海峡通過が出来る(バルティック艦隊は入れない
  • 黒海内を運行するトルコの商船には、トルコ海軍の艦船が護衛についたり、巡視船も増強する

というような状況のようでした。

トルコはシリア北部を実効支配しており(最近フォローしてないので今どうなっているかわかりませんが)、シリア政府(アサド政権を通り越してロシアと直接手打ちした経緯があるので、遠慮があったのかなとは思います。

あとは、ロシアと黒海を通って直接トルコに来るパイプラインの計画とかもあったはずだし。

ただ、その後ロシア海軍駆逐艦からのカリブル巡航ミサイル発射でどこかの街の庁舎が破壊されるなどがあり、3月4日時点でトルコはシリアから戻って来たロシアの黒海艦隊を追い返し、海峡閉鎖を正式発表

さらに、トルコと犬猿の仲のキプロスもロシア軍の船五隻を寄港拒否↓

ウクライナ軍の健闘を支えるトルコ製のドローン

ロシア軍が航空優勢を取れない、というか、ロシア軍の戦車や軽車両が多数撃破されているのは、NATO提供の対戦車砲・対空砲の他に、トルコ製のドローンの存在があるらしい。

バイラクタル TB2 - Wikipedia

2020年にトルコ・アゼルバイジャン連合軍とアルメニア(ロシア)の間であった第二次ナゴルノ=カラバフ戦争で大活躍し、44日という比較的短期間にアゼルバイジャンを勝利に導いた立役者と言われている…らしい。

カフカスの山岳地帯はヘリや航空機からは視界が悪いけれど、ドローンで戦車を航空支援しながら戦車を進めてレコンキスタしたという話でした。

ヘリや爆撃機パイロットの育成も大変だけれど、ドローンならクリスマスプレゼントの定番だし、若い男の子はすぐに使えそうなのでドローン大量投入は爆撃機よりもコスパはいいと思う。

 

何故トルコ製のドローンがウクライナに大量にあるのか?

というと、開戦直前(今年の2月3日頃?)にエルドアン大統領のウクライナ訪問があり、大急ぎで販売・搬入した模様↓。

ナゴルノ=カラバフ戦争時にロシアがアルメニアを支援(非派兵で武器のみ支援)したのもあり、ウクライナアゼルバイジャン(と親玉のトルコ)に何か恩(武器?)を売っていたのでは?という話もあるらしい。

 

ウクライナトルコの地政学的な腐れ縁

良くも悪くも、トルコとウクライナ黒海を挟んだお隣さんなので、巻き込まれてしまうというのはあると思う。

ロシアと仲がいいときは

「トルコなんかイスラム教徒だし!フン!」
ってしてるのに、痴話喧嘩(ロシアは飛んだDV男だよ)のときは

「助けて〜〜トルコさ〜ん」

って頼ってくるのをウクライナの辺り(ジョージアも?)は歴史上何回も繰り返してるんでしょうね。

 

蛇島の勇者とオデッサ揚陸作戦

蛇島やSnake Islandと呼ばれるズミイヌイ島で警備隊の13名が玉砕したとかしてないとかいう話題がありましたが、

Snake Island: Ukraine says troops who swore at Russian warship are alive - BBC News

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ルーマニア寄りにある、ウクライナの沿岸の港湾都市オデッサを狙うには重要な拠点なのかなと思います。

3月2日時点では蛇島付近に巡視船二隻があり、クリミア側に黒海艦隊揚陸艦含む船団が控えているような状態でしたが、

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現在この打撃軍がオデッサ方面に向かっているらしい。

 

黒海艦隊のヤラカシ疑惑(おまけ)

3月3日の夜に黒海方面に偵察飛行に出たルーマニア空軍のMIG-21戦闘機がレーダーから消え、捜索に出た5人乗りのヘリも墜落したという事件がありました。

ヘリに関しては、

悪天候で視界が悪い」

という通信が入った後に消息が途絶え、翌朝墜落しているのが見つかったらしいのですが、MIG-21に関してはロシアのニュースサイトが

ウクライナ機を撃墜した」

という速報を出し、ルーマニアのMIG-21消息不明の発表の直後に記事を消したらしい。

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え?もしかしてロシアさん、やっちゃった?

ルーマニアってNATOだよね?

 

まあ、これを認めたらNATOの方も参戦せざるを得なくなるので不問に付されると思いますが、ロシアって対空(だけじゃないかもしれないけど)誤射多いよね…。

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